子育て専門家の頭の中

療育の専門家です。こどものこと、発達障害、知的障害、肢体不自由のこと、ときどきスピリチュアルについて日々の気づきを書きます。読んだ方のお役に少しでも立てたら幸いです。

ランドセルで失敗したこと 親の思い

こんにちは。学校の先生です。

あともう少しで、今年度が終わって

4月1日から新年度の始まりですね。

なぜ年度の切り替えが1月1日ではないのかはわからないけれど、

お別れと、新しい世界への出発は3月と4月が切なくて丁度良いと思います。

 

桜とチューリップとビオラタンポポ

たくさんの花が新しい世界に向かう私たちにちょっとした元気を分けてくれる気がします。

 

小学生はランドセルを背負います。

そういうものだと思っているから、みんなランドセルを背負うのでしょうか。

ランドセルは義務では決してなくて、決まりもないと思うのです。

 

私が先生になりたてのときに務めた学校は、

重い障害を持つお子さんが多くて

車いすのお子さんが大半でした。

 

車いすに座るとランドセルは背負えません。

車いすに掛けるにはちょっと幅が足りなくて、

車いすに掛けるにはトートバックやリュックサックが丁度良かったりします。

毎日の通学の持ち物は、

タオル、食事用エプロン、水分、連絡帳です。

ランドセルで通学する必要性がなくて、適当なバックでお子さんたちは通学していました。

 

ランドセルを背負っている子供は教科書を使って勉強する子ども達でした。

 

先生になって5年目で初めて小学校1年生を担任しました。

障害が一番重いクラスでした。

入学式当日だったか翌日だったか覚えていませんが

保護者に聞かれました。

「ランドセルで通っても良いですか?」

私は何も考えずに答えました。

「ランドセルじゃなくても良いですよ」

ランドセルである必要はないから。

 

そのとき、お母さんの表情が一瞬固まったのに気付きました。

 

でも、その表情の深い意味を、私は親になるまで理解できませんでした。

10年以上放置してしまった。

 

今なら理解できます。

お母さんの気持ちが。

あの頃の私は考えもしなかったけれど、

お母さんは当たり前だけど、入学前にランドセルを用意していたのですよね。

 

我が子に障害はあるけれど、小学1年生はランドセルを背負うもの。

我が子は障がいのある特別な子ではなくて、みんなと同じ小学校1年生。

自治体から届いた学校決定の通知を見て、

特別支援学校に通うことに複雑な思いを抱いたに違いない。

学校の種類は関係ない。

ランドセルで通学させたい。

 

そんな気持ちに全く気付けなかった。

 

そのお子さんは、翌日から手提げバッグを車いすに掛けて登校しました。

新しいランドセルは活躍する機会もなく、自宅に置いてあるのでしょう。

活躍する機会を奪ったのは私です。

 

今の私なら、

「どうぞ、ランドセルで登校してください」

って言えたのに。

 

今まで、たくさんの「ごめんなさい」があります。

私は本当に鈍感で、人の気持ちがわからなすぎる。

 

 

自分が親になって良かったと思う。

初めて親の気持ちがわかった。

 

 

あの頃に戻って、あのあ母さんに

謝ることはできません。

たくさんの「ごめんなさい」や「ありがとう」を抱えながら

私は目の前のいろいろな物事に対して

ベストを尽くしていくしかありません。

 

今日はランドセルにまつわる私の失敗談について書きました。

 

ランドセルを背負う背負わないにかかわらず、

学校に行きたい、行きたくないにかかわらず

すべての子どもの心が光り輝きますように。

誰かの愛情が降り注がれますように。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。