子育て専門家の頭の中

療育の専門家です。こどものこと、発達障害、知的障害、肢体不自由のこと、ときどきスピリチュアルについて日々の気づきを書きます。読んだ方のお役に少しでも立てたら幸いです。

発達障害・自閉症の偏食について。私がかかわったお子さんの話。

こんにちは。学校の先生です。

今日は発達障害自閉症のお子さんの偏食について

私がかかわったお子さんの様子や変化について

お話したいと思います。

 

Aちゃん。とても可愛らしいお子さんでした。

ぴょん、ぴょん、よく飛び跳ねて。

気持ちはいくつかの単語で伝えてくれました。

 

1 偏食の実態 

Aちゃんと初めて会った日の

翌日に

Aちゃんのお母さんは

私にA4サイズの紙を渡してくれました。

 

「ウチの子の食べられるものリストです・・・」

 

A4サイズに収まってしまうほどの量です。

食べられるものよりも

食べられないものの方が圧倒的に多いのですね。

 

主食に関してはこんな感じでした。

ご飯は白米のみ。

麺は焼きそばのみ。

まるちゃん焼きそばで

もやしとニンジンをスライスしたもの。

パンは食べられない。

 

スープやみそ汁は飲めません。

 

おかずは

唐揚げの他、数種類。

冷凍食品に特定の調味料をかけて食べる

とか。

 

飲めるものは

牛乳、水、お茶。

飲めるジュースも2つくらい。

 

おやつも

あるメーカーのおせんべいと

あるメーカーのビスケット

くらい。

 

さいころから外食では

ほとんど食べられるものがなく

家から用意したものを食べていたそうです。

 

パン屋の前では

嘔吐してしまう。

他にも苦手な臭いをかぐと

嘔吐してしまうそうです。

 

さあ、明日からの給食、どうしよう。

とりあえず、栄養士さんに

カレーや丼もの、チャーハン、炊き込みご飯は

白米と具に分けてもらうことをお願いしました。

 

2 過敏の実態

 体に触れて嫌がる場所は、頭、口周辺、首、手、足でした。

印象に残っているのは

足です。

ふれあい体操で

足に触れたら

声も出さず

悲しそうに涙を流し

こらえていました。

 

手は私と手をつないでも

すぐにするりとすり抜けていってしまいます。

 

日常的に嫌がること

・靴下の長さ、種類にこだわる

・着るもののデザインや生地にこだわる

・砂が嫌い

ティッシュをポケットに入れるのが嫌い

・ポケットに入れるタオルハンカチもこだわりがある

・頭にかぶるものが苦手

・マスクをつけられない

 

過敏のあるお子さんにとって

運動会やお遊戯会は

普段と違う、

しかも

肌触りの悪いものを身につけなければならない

苦痛の行事です。

お母さんは毎回ご苦労なさっていたと思います。

 

周りの子が笑顔で何かしているのに

我が子は涙目でがまんしている。

 

本人、ご両親の気持ちを考えると

 

行事で身に着けるものは

幼稚園、保育園、小学校の先生は

よくよく

配慮した方が

お互い幸せなのではないかと思います。

 

 

3 どうかかわっていったか

・過敏の軽減

Aちゃんはくすぐり遊びや抱っこが大好きでした。

時間があるとくすぐり遊びや抱っこをしながら

さりげなく

苦手な部位をさわって

拒否られて

時間をおいて

またさわる

ようなかかわりを継続して行いました。

 

頭にかぶるのも苦手だったので

だっこしながら

パーカーの帽子をかぶせて

そのままぎゅっと頭を包み込むように抱いたりもしました。

 

週に2時間、桐ヶ丘特別支援学校の静的弛緩誘導法

をつかった授業をしました。

 

・給食でのかかわり

基本は食べたいものを食べるようにしていました。

食べれないものは

とりあえず触ってみる

こんなことにチャレンジしました。

 

給食は主にスプーンを使っていましたが

手を使って食べることをしからず、

食べ物にたくさん手で触れてもらうようにしました。

 

なぜならば

赤ちゃんの時に

遊び食べ、掴み食べを

してこなかったかもしれないので

小学校低学年という

可愛いから許される時期に

子供の発達段階で必要なことを

させたい、

という思いがあったからです。

 

また、好きな食べ物に

こっそり苦手な食べ物を忍ばせる

ということは

しませんでした。

信頼関係を築きたかったので。

 

4 Aちゃんの変化

Aちゃんとの2年を経て

じゃじゃーん、

過敏は見事軽減されました。

 

週2時間の静的弛緩誘導法の時間は

Aちゃんにとって

楽しい時間となりました。

 

マスクも一定時間

つけられるようになりました。

 

着るものに関しても

そういえば

昔はこだわってたな、

と思うほど

問題になるようなことが起きなくなりました。

 

頭にかぶるものも

若干苦手なくらいで

すごく嫌!

という感じではなくなりました。

 

そして給食です。

 

例えばメニューが

ごはん、ぎょーざ、中華サラダ、スープ、ゼリー、牛乳

だったとすると

 

最初の頃食べられたのは、

ご飯、ギョーザの皮、牛乳のみでした。

 

2年後は

じゃじゃーん。

ご飯、ぎょーざ、

サラダの人参、もやし、春雨(きゅうり以外完食!)

スープの大根、白菜、ゼリー3口(くち)、牛乳

となっていました。

 

カレー、サラダ、スープ、ばなな、牛乳

だったとすると

 

最初の頃は

ご飯、牛乳のみでした。

 

2年後は

カレー(じゃがいも以外完食)、

サラダのチーズとコーン、

スープのたまねぎ、しめじ、スープ1口(くち)

バナナ

牛乳

となっていました。

 

また、全く食べられなかった

スィーツ

アイスやケーキ、

チョコレートが食べられるようになりました。

焼き魚も皮までおいしく食べるようになりました。

パンも麺類も完食まではいきませんが

ほとんど食べられるようになりました。

 

スィーツに関してはお母さんが突破口を開いてくださいました。

ハーゲンダッツ、31アイスクリームなど

いろいろ試してくださり

家庭で一口、二口と食べられるようになりました。

私は最初、甘いものは無理だろうと

思っていたのですが

お母さんのおかげで食べられるようになりました。

 

お母さんの姿から

 

無理だろうと思うのではなく、

食べられるよね、と信じて

接することって

大切なんだなーと

学びました。

 

 

2年間、毎日給食で食べたものを

お母さんに報告しました。

今まで食べられなかった

食材を食べたと報告すると

お母さんは

とても喜んでくれました。

私もとても、

とても、うれしかったです。

 

5 ふりかえってみて

Aちゃんとの日々を振り返ってみて

何が良かったかなと

考えると

・過敏の軽減

・スプーンを使わず手で食べたこと

だと思います。

 

過敏を軽減したことが

食べられるものを増やしました。

 

また、じっくり手を使って食べたので

Aちゃんはどんなものなのか

触れて、臭いをかいで

観察することができました。

 

最初はペロッとなめることから始め

そのうちお米一粒大くらい食べるようになり

一口食べるようになり

最後には完食するようになりました。

 

いろいろなものを食べることで

Aちゃんの人生は豊かになったと思います。

 

高学年、中、高生のときに

いくら過敏を軽減しても

食べられるものは

残念ながら

あまり増えません。

 

大きくなっても白いご飯とおかずを少ししか

食べられない方も

たくさんいらっしゃいます。

 

 小学校低学年の2年間

Aちゃんとかかわれて

本当に良かったです。

 

Aちゃんとは

楽しい思い出が

いくつも、いくつもあります。

Aちゃんの笑顔が大好きでした。

Aちゃんを抱っこするのも

くすぐるのも

大好きでした。

 

子供は天使ですね。

 

私とAちゃんの話が

どなたかのお役に立てたら幸いです。

 

何かわからないことがあったら

質問してください。

うっすらとした記憶をたどって

お答えしたいと思います。

 

それでは

最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

皆様の心が

明るく

軽く

温かく

光に満ちますように。

 

Aちゃん

Aちゃんママ、パパ

ありがとうございます。